賃貸のメリット情報

 「どういうマンションがよいマンションですか?」建築士として住宅をつくる仕事に携わっている以上、こうした質問には明快に答えなければなりませんが、これはとてつもない難問です。 100人いれば100通り、1000人いれば1000通りの「よいマンション」が存在するからです。
答えを出すために、マンションを含めた「家とはなにか」ということから考えてみましょう。  家は「器」です。
器はその中に入るものがあってはじめて役割を果たします。 家という器に入るのは、安心や潤いのある生活であったり、家族どうしの触れ合いであったり、知人との交流であったりします。
こうして器は、出会い、慈しみ合い、励まし合い、希望を感じる「場」になります。 安心や潤い、ふれあいのかたちは人それぞれ違いますから、家そのもの、器そのものの出来映えだけを評価してもあまり意味はないのです。
つまり、住む人のライフスタイル、感じ方、楽しみ方、人生の目的、などに合った家、住む人の個性を最大限に生かすことができる家が「よい家」なのです。 さらに、人生の節目、ライフスタイルの変化に、メンテナンスや増改築といった新陳代謝を促すことによって対応できれば申し分ありません。
この点においては、一戸建てもマンションも本来違いはありません。  けれども実際、マンションを評価するのはむずかしい問題になります。
住戸数60のマンションがあったとします。 40戸の住人が「よいマンションだ」と思っている、20戸の住人はなにかしら不満を持っている、さて、これはよいマンションでしょうか? 多種多様なライフスタイルや価値観、たとえば、「リビングに吹き抜けを設けて家族どうしがお互いの息づかいを感じられるようにしたい」「来客が多いのでパブリックゾーン、プライベートゾーンを分けて家族それぞれのプライバシーを大切にしたい」「ガーデニングができるように庭からリビングまで一体感のある空間を設けたい」など、すべてに応えるのは残念ながら至難のワザです。
設計者にできることは、多くの人たちの、さまざまな希望をできるだけ受け入れることのできるキャパシティの大きなプランをつくること、70点よりも75点、75点よりも80点の評価を受けるマンションをつくっていくことだと思っています。  本書は、マンション選びのポイントをなるべく分かりやすいようにストーリー仕立てでまとめたものです。

登場人物といっしょに、悩みながらご自分の望むマンション探しをしてみてください。  マンション購入は、一生のうちに何度もない大きな買い物です。
実際にご自分の支払える金額だけを優先して、「このマンションなら買える」ではなく、あなたとご家族が満足できる生活を送るために「このマンションなら合格」と言えることが大切です。 ときには妥協が必要なこともありますが、基本的に妥協は後悔しか生みません。
ちょっとした知識と熱意、そしてはっきりとした希望を持つことがマンション選び成功のカギです。 ご自身の希望がはっきりしてくれば、結論は意外と早く出るはずです。
 年収/700万円積立定期貯金/450万円社内積立/230万円森武史=大手商社勤続10年の営業係長。 温厚で人当たりがよく、子ぼんのうだが、がんこで、一度言ったことは曲げないこともある。
買い物はカタログを見比べて慎重に選ぶタイプだが、いったん欲しくなると買わなきゃ気が済まない面も持ち合わせている。 森陽子=出産を機に退職し、現在は専業主婦。
おおらかな性格だが、言いたいことはハッキリと言うタイプ。 もともと買い物は慎重派。

ことに子どもが生まれてからは、本当に必要なものしか買わない、というしっかり屋さんに。 MY太=1歳6ヵ月の元気な男の子。
2ヵ月ほど前にやっと歩くように。 うっかりすると、どこへでも行ってしまうので、目が離せない。
口は達者なようす。 T部Y弘=夫の大学時代の先輩。
設計会社勤務。 戸建て住宅からマンションやオフィスビルまで、あらゆる建物の設計をこなす。
現在、設計だけでなく、建物のさまざまな問題を解決するための部署に所属。 よきアドバイザー、ときには厳しいご意見番として、M夫妻のマンション購入をサポート。
ついにマイホームへ向けて動き出すときがきたようです。 子どもの安全がきっかけに Mさん一家が住んでいるのは築20年の社宅。
エレベーターのない5階建ての3階で、広さはいまとなってはめずらしい団地サイズの2DKです。  Y太君が生まれて以来、T史さんの休日が買い物の日。

ベビーカーに乗ったY太君とたくさんの買い物を、一度に階段を上がって部屋まで運ぶには、やはり大人ふたりの手が必要だからです。 紙おむつやティッシュペーパー、トイレットペーパーなどかさばるものをこのときに買い忘れると大変です。
Y子さんひとりで、まずY太君と多少の荷物を抱えて部屋へ上がり、Y太君が部屋のなかで大きないたずらをしないことを祈りながら、ダッシュで階段下へ残りの荷物とベビーカーを取りに行かなくてはなりません。  最近はY太君の行動範囲が広がって、荷物を取りに下りているあいだに玄関から廊下へ出てきてしまうこともあり、Y子さんもT史さんも気が気ではありません。
また、衣類やオムツ、タオル類、こまごまとしたおもちゃなど、子どもの生活用品もふえる一方で、いくら収納法を工夫しても、大きさや形が不揃いな物をきちんと整理するのは至難の業です。  そうした悩みを抱えるふたりのそばを、同じ社宅の同年代の人たちが「金利の安いいまこそ買い時」と一組、二組抜けていきます。
堅実派のふたりは、Y太君の小さいうちはここで暮らし、マイホームは小学校に上がる頃にと漠然と考えていましたが、「そろそろ考え時かな」と思いはじめました。 予備知識がなくて不安‥でも、住宅に関するさまざまな問題をテレビや新聞雑誌などで見ると、専門知識のない自分たちが間違いのないマイホームを選べるかどうか、心配になってきます。
 これまで大きな買い物をするときには、メーカー各社のカタログを見比べ、販売店を回って数人の販売員に話を聞き、インターネットで情報を集め、使っている人の感想を聞いて、慎重に選んできました。 おかげで、「ああ、ハズしたな……」と後悔するようなこともほとんどなかったふたりです。
 けれど、家に関しては、ローンや税金の話も込み入っているようだし、図面を見たこともありません。 とりあえず、いろいろな人の話を聞き、家の買い方についての本も読んでみようと思っても、どこから話をはじめ、なにから調べていったらいいのか、途方に暮れてしまいます。
 大きな買い物だけに失敗はしたくない、でも、本当に大丈夫なのだろうか、と不安は広がりますが、住宅の新聞広告が急に現実昧を帯びて見えてきました。 いよいよ夢のマイホームへ。
でも、T史さんの夢は戸建て、Y子さんはマンション推奨。 「やっぱり小さくても庭付き一戸建て、だよね」「マンションよ!通勤圏内の戸建ては高いし、かえって不便なことも多いみたいだし」「駅に近いところはL地が高くて戸建ては建てられないし、かといって駅からバス20分とかの開発地は通勤も買い物も不便ってことか。

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賃貸がどのようなものかをしっかりと把握し、最低ラインをしっかりと決めた上で賃貸を進めることが重要だと言えるでしょう。
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